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彼女の背中に呼びかければ、彼女は足を止めて辺りをきょろきょろと見回した。
走って青井に追いつくと、彼女は驚いた様子で俺を見上げていた。
「結城じゃん、どうした? え、あたし食堂に何か忘れてた?」
「いや、そうじゃなくて」
首を横に振る俺に、青井は心配そうな顔をする。
「どした?」
「言いたいこと、あって」
「うん」
俺の真剣さが伝わったのか、青井は真面目な顔になって俺の言葉を待っていてくれた。
「俺……」
「うん、何?」
「俺、たぶん、青井が好きかもしれない」
これってもしかして、告白ってやつだろうか。いや、もしかしなくて告白でしかないだろう。
通り過ぎて行く学生たちのチラチラした視線を感じながら、俺は真っ直ぐに青井を見る。
「かもしれないって、何さ」
「何言われても手放したくない、人。それに青井はちゃんと俺を見て話をしてくれるし」
言いながら恥ずかしくなってくる。
顔が熱い。耳まで熱い。
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