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メリナside2-4★ 潔癖というよりも――な旦那様に愛されて
「メリナ?」
オズウェルは顔を曇らせ、メリナの両手を頬に添えた。じっと瞳を覗き込む。
「あの、ええと……」
ちょうどいい言い訳が思いつかず、焦りでまばたきばかりしてしまう。
(素直に伝えてしまっていいものかしら? かといって黙ったままで心配をおかけするのも嫌だし)
メリナはそれとなく視線を自分の下腹部の方へと向けた。
オズウェルもつられてそちらの方を見遣る。
「オズウェル様に触れられると、印のあるあたりがじんじんと熱くなってしまって。これも呪いの影響なのでしょうか。オズウェル様に害がなければよいのですが」
メリナは下腹部に手を当てた。まだ余韻が甘くくすぶっている。
「自覚なしに愛いことを言ってくれる」
オズウェルの尻尾がばさばさと風を切って激しく振れた。ボリュームがあるだけあって非常に動きが大きく目立つ。
「うい?ではなくて害が――」
「日常に支障がない程度には切りそろえているつもりだが、さっき整髪料を落としたついでにやすりをかけておくべきだったな」
メリナの言葉など耳に入っていないのか、オズウェルは忌々しそうに自分の手を眺めた。
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