オズウェルside1 妻が可愛くてもげるほどつらい

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「サロンと奥さんに何の関係が?」 「自意識過剰なだけかもしれんが、煽情(せんじょう)的なことをするようになった、気がする」 「……あー、はいはい。あそこの時間を持て余したご婦人方は他人のゴシップとロマンスがお好きだからねえ。吹き込まれたんでしょ、色々」  何かを察したルーカスは目を細める。 「どれも自分を抑えるのに苦心したが、尻尾の手入れをされた時と、彼女が酔い潰れた時はどうにかなりそうだった」  その時のことを鮮明に思い出しそうになり、オズウェルは自分の尻尾をきつく握りしめた。鋭い痛みで思考が明瞭(めいりょう)になる。 「よくやらせたなお前。耳と尻尾はダイレクトに刺激が来るとこだろ。俺だってめったに他人に触らせない」  ルーカスは耳をぺたんと伏せ、細長い尻尾をゆらゆらと動かした。 「仕方がないだろう。触ってみたいとせがまれては断れない」  宝物を見つけた子供のように翡翠色の瞳を輝かせ、両手を合わせてお願いするメリナの姿はあどけなく、オズウェルは(うなず)かずにはいられなかった。
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