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「……っ、すまない!」
オズウェルはメリナの肩に手をかけて身体を引き離し、うな垂れるように頭を下げた。
一瞬ちらりと見えたオズウェルの顔は、瞳と同じ赤に染まっていた。
「どうして謝るのですか」
メリナは笑いを堪えきれず、くすくすと声を漏らしてしまう。
普段あまり感情を表に出すことのないオズウェルがあんな情熱的なことをしたり、かと思えば初心な少年のように頬を赤らめたり――知らなかった一面を見ることができたのが嬉しい。
「君の意思を無視してこんなことを……。その、苦手だったり、嫌悪感があるだろう?」
オズウェルはそろそろと面をあげ、窺うような視線を向けた。
(しょんぼりした大きなワンちゃんみたいで可愛い)
絶対に本人には言えないことがメリナの頭によぎる。
「確かに、男性から向けられる感情は苦手ではありますが」
いったん言葉を切り、メリナはオズウェルの襟首をつかんだ。軽く自分の方へと引き寄せる。
「大好きなオズウェル様は別です」
自分の気持ちが伝わるように唇を重ねた。
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