メリナside2-3★ 旦那様は大きなワンコ? 黒い狼?

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 そんなことをしているうちに、がちゃりと扉が開いた。 「……妙に緊張するな」  メリナの姿を認めるなり、オズウェルは気まずそうに目蓋を伏せた。それに連動して耳と尻尾がやや下がる。 「えっ、動いた!」  見たそのままを口にしたメリナは、慌ててはっと口を押えた。  よくよく見てみると、オズウェルの髪がほんのりと湿っている。いつもより艶めき乱れた髪は野生的で、狼らしさを強めていた。 「普段は整髪料で固めている。完全に固まるわけではないが、細かな動きはだいぶ抑えられる」  オズウェルは後ろ手で扉の錠を閉め、メリナの隣に座る。ベッドの上で、尻尾の先だけが小刻みに揺れていた。 「尻尾には、行動の妨げにならない程度の重しをつけている」  メリナを視線を感じ取ったのか、オズウェルは尻尾を押さえつけた。 「どうしてそんなことを」 「もともと、君と出会う以前からしていることだ。これのせいで心や動きが読まれる。特に俺は狼族だというのに尻尾が揺れやすくてな」 「私と二人だけの時や、一緒に眠る時もそうしていらしたのですか?」  メリナの声が不安定に揺らぐ。  つまり、今までオズウェルに心を開いてもらえていなかった、ということだろうか。
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