メリナside2-3★ 旦那様は大きなワンコ? 黒い狼?

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「自覚があるのかないのか、君はすぐに俺をその気にさせるから困る」  言葉とは真逆の表情をしたオズウェルは、空気を求めて開いたメリナの口に舌を深く入り込ませた。  舌が擦れるたびに、ぴちゃ、ちゅっ、と微かな水音が内側からメリナの鼓膜を揺らす。胸が熱く苦しくなり、全身に熱が広がっていく。 「んっ……今まで、その気になっているようには見えませんでしたけれど」  ほんの少しの恨みを込めて、メリナはオズウェルをねめつける。いくらか血色は良いが、オズウェルの顔には余裕があるように見えた。 「君に悟られまいとひた隠しにしていたからな。俺がどれだけ夜な夜な――」  オズウェルははっと口元を押さえ、物理的に言葉を止めた。 「夜な夜な? そういえば、夜中になると三十分から一時間ほど、どこかにお出かけになっていましたね」 「その話はやめよう」  オズウェルから余裕が消え去り、代わりに焦りがにじむ。視線が泳ぎ、急に耳と尻尾がそわそわと動き出した。 (これは確かに、動きを押さえていないと領主や団長としての威厳が保てないかも。可愛いけど)  メリナは頬が緩むのを抑えられない。
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