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「はぁん……」
淫紋に触れてオズウェルが穢れてしまわないか心配だったが、メリナの口から先にこぼれたのは鼻にかかった甘い喘ぎだった。熱を孕んだ部分を直接刺激され、身体が勝手に妖しくうねる。
「あぁ、オズウェルさま……熱いんです、もっと、奥が」
メリナは手を伸ばし、オズウェルの髪の中に指を埋めた。
黒くしなやかな髪はつるりとしており、指通りが気持ち良い。耳は毛質が異なり、外側を覆う毛はふんわりと柔らかく、穴を塞ぐように生えた毛はゴワゴワと硬かった。
「ぐっ……君という、人は……!」
メリナの手を振り払うようにオズウェルの耳がぱたぱたと動いた。ほとんど間を置かず、オズウェルがばっと勢いよく顔をあげる。
眉間にはしわが刻まれ、口元は何か言いたげに引きつっていた。頬が少しだけ赤いように見える。
「はい?」
メリナは小首をかしげた。
何かまずいことを言ってしまっただろうか。それとも、髪に触られるのが嫌だったのか。思い当たるのはこの二つくらいだ。
「……なんでもない。諸々、あとですり合わせをしよう」
オズウェルはうな垂れ、深いため息をついた。
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