お帰り

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 そうとなれば部屋に入って来るのをこのまま待つべきである。  罠で動物や魚を捕まえる時は、出口から遠い奥の方まで入るのを待つのが鉄則だ。だったら、それは人間にも当てはまるに違いない。  もしご褒美なら、これが切っ掛けでお付き合いが始まり、同棲何てことになる可能性はあるはずだ。  ここは焦って千載一遇のチャンスを簡単に失う訳にはいかない。これが人生最初で最後になるかもしれないのだ。  もう、俺の頭は妄想大魔王。  もしこれが同棲なんてことになったらどうしよう。なんて妄想が止まらない。  毎日一緒にご飯を食べて、寝るのは当然一部屋しかなし、ベッドを二つも置けるスペースもない。と言うことはだ、一緒に…なんて。  ああ、ヤバ、血の気が一か所に集まりそう…  取り敢えず、未来の彼女に嫌われない様に散らかってるゴミを拾うことから始めよう。  と、ごみを拾おうとして頭を下げると、そのせいなのか俺の上の頭に血が巡り、世間が冷静に見え始める。  そんなに簡単に女性がやって来るものだろうか?と。  そう、そんなことは青春モノのアニメやドラマ以外にあり得るはずがないに決まっている。  危なく妄想大魔王に頭を支配され、俺のよこしまな気持ちがたてしまに戻らないところであった。危ない、危ない。  俺の自動回復機能が優れもので助かった。  例え同棲になったとしても、俺が仕事に行ってる間に少ない金品を持って行かれるのが関の山である。俺の運命なんて、元々その程度なのだから。  いや、そんな間怠っこしいことよりも、今その女性の後ろに怖い男が居ると言う方が現実的に有り得そうだ。女性をカモフラージュにした強盗かもしれないのだ。  そうだ、取り敢えず疑った方が無難である。
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