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だったら、どうする?
まずは戦うための武器を持つべきだろう。柄の長いものが必要だ。
この部屋に長くて丈夫なモノってあったけ?
ああ、そうだ、ビニール傘がクローゼットにあったかもしれない。それを持とう。
あと、お腹には雑誌を入れておいた方が良いかもしれない。
俺の頭は一瞬の内に様々な思考が巡ぐり、強盗を想定した最低限の準備もあっという間に整ってしまう。
そして、準備も出来たところで、8畳間の引き戸の横に隠れて待つ。
そこに、
「やーくん、居ないの?」
そんな声が聞こえて来る。
俺の名前は丘康孝。やー君でもあるし、親族もそう呼んでいる。
あれっ、本当に俺の知り合いだろうか?
俺を”やー君”と呼ぶ若い女性と言えば、幼馴染か小学校の同級生ぐらいだ。それと、二度程付き合いで行ったキャバクラのおねーちゃんも居るが、それは断言して有り得ない。
まさか、子供の頃の知り合いとかだろうか?
玄関とキッチン兼ダイニング、略してDKの間のドアが軋む音が聞こえて、1分くらいは経つのに、なかなか俺の居るリビング兼ベッドルーム兼書斎の8畳間、略して8畳間には入っては来ない。
足音も近づいて来ない。
そもそも、俺は鍵を掛けてはいなかっただろうか?
掛けてた気がする。
いや、掛けだはずだ。記憶がある。
と言うことは、もしかして大家さの娘さんとか、そうか大家さんの娘さんだ。きっと、そうだ!
と思いたいけど、大家さんの娘さんが”やーくん”と呼ぶはずがないし、大家さんの娘さんは、確か40歳前後のはずである、若くはない。
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