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となると、合鍵を持っている人に限られる。大家さんから貰った鍵は二つ。
一つはもちろん自分であり…でも、鍵を開ける音が聞こえなかった気がする。
鍵を開ける音は、静かな部屋には結構響く様な気がする。このアパートもそうに違いない。
と…言うことは、ま、まさか壁をすり抜けられる…そっち系の存在??
と言うか存在しないモノと言うか…
「あれっ、居ないのかな」
居るはずの無いのは、あなたの方ではないでしょうか。そう言ってやりたい。怖くて言えないけど。
ヤバイ、ヤバイ、血の気が引いて行く、身体が震える、脚が思うように動かない。
「居ないのかなぁ~」
試しに返事をしてみようか?いや、こんな時に返事をしては、多分拙いはず。こんな時に、怖いもの見たさ的な行動を取るべきではない。
足音がこちらに近づき始めている気がする。
どうしよう、どうしよう、どうすればいいんだ俺。時間はそんなにのこされてはなさそうだ。
でも、ちょっと待て。足音がするってことは、多分それとは違うでしょ、違うはずだ。
え~い、もう、こうなれば俺から出て行こうか。このまま待っていても埒が明かない。
怖がっていても、そこに居ることには変わりはないのだ。足音が聞こえたことで、勇気が出る俺。
よし、隠れるのは止めだ。でも取り合えず万が一の為、武器の傘だけは持って、と。
「せ~の」と言う心の合図で、俺は思い切って八畳間の引き戸を引く。
すると、そこに立って居るのは…
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