CHAPTER Ⅳ

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「しまった、遅かったか」  三人は客室に着き、目を見開いた。  窓は開け放たれており、部屋はもぬけの殻だった。 「ブラッシュ様が、いないわ……」  リリィは口に手を当てた。 「急な来訪だと思っていたが……。まさか彼の目的がだったとは……」    カンバス卿は、ベッドに腰を掛け頭を抱えた。 「旦那さま……」  エリックは何と声を掛けたらいいのか分からなかった。 ――あの絵とは一体何のことだろう。   「エリック、図書室に『屋敷の絵』がないか、見てきてくれないかしら?」 「承知しました」  エリックは図書室に戻り、絵を確認した。  先ほど彼を恐怖に陥れた絵は、無かった。 * * *  絵が無くなっているのを確認したエリックは、客室に戻った。 「お嬢さま、絵はありませんでした」 「そう……」  リリィは目を伏せた。 「――エリック、今日はもう休みなさい」  カンバス卿はエリックの目を真っ直ぐ見た。 「承知しました」  エリックは、聞きたいことが山ほどあったが、今晩はひとまず休むことにした。          
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