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そんな優秀な彼であったが、今日の仕事は一筋縄ではいかなかったようだ。
昨夜、白いティーカップにヒビが入ったのは、今日の自分に対する警告だったのかもしれない、とエリックは思った。
今日の昼、主人の友人ーーブラッシュ卿が急に来訪した。
大学時代からの親友のため、急だったにもかかわらず、カンバス卿は嫌な顔一つしなかった。
その一方でエリックは、ブラッシュ卿を見た途端何か嫌な予感がした。
そして、その予感は見事的中した。
ブラッシュ卿は、顔が良い。
それに加え洗練された知的な人物で、屋敷のメイドたちが騒ぎまくった。
そしてエリックにとって大層残念なことに、普段は頼りになるハウスキーパーが、突然こんなことを言い出してしまったのだった。
「——彼のために、今までで一番豪華な料理を!」
そのスローガンのもとに集った一部の女性陣に頼まれ、今はまだ下っ端のエリックは、自分の仕事以外に、聞いたことも見たこともないような食材を買いに行かされたり、料理の手伝いをしたりと散々な目に遭ったのだ(ちなみに、食材はエリック独自の伝手を使って、何とか当日中に調達した)。
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