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そうだ……別に仕事だけが、新しい世界というわけじゃない。
普段やらないようなことをやってみたら……それは何でも挑戦になるのではないか……。
末松は勢いよくソファーから起き上がって、スマホを開いた。そして寝室の隅に配置しているデスクに向き合う。
そのまま愛用しているノートパソコンを開いた。
写真の中のURLを、パソコンで検索してみる。
「ワンダールームへようこそ……本当にあるサイトなんだ」
それは、ワンダールームという匿名掲示板だった。
トップページは無機質な白のページに、可愛い字体で『ワンダールームへようこそ』と書かれている。
「え、結構人いるし……」
本日の閲覧者数のカウンターは、五千番になっている。まさかのキリ番だった。
今日だけで五千人もの人が、この掲示板を利用しているのだ。
末松はまず、『ワンダールームとは』という項目をクリックした。
そこにはワンダールームのルールが書かれていた……。
①悩んでいること、辛いことがあったらスレッドを立てる
②スレッドに対するコメントは、ポジティブでならなければならない
③病んでいる人が元気になるようなコメントを
……つまり、悩んでいる人や辛いことを抱えている人に対して、励ますようなポジティブなコメントを残してあげるという掲示板らしい。
説明の最後には、『落ち込んでいた人生が、不思議と明るくなる掲示板』と書かれていた。
「これ、今の俺にピッタリだな」
末松は早速自分のアカウントを作った。
匿名とはいえ、初期登録は必要みたいだ。
誹謗中傷が蔓延る時代がゆえに、登録は必須らしい。
末松は承諾して、必要欄を埋めていく。
「よし、登録完了」
末松は名無しとして、すぐにスレッドを立てた。
スレッドの名前は『失恋と失業が同時にやってきた』だ。
「話聞いてくれんのかなぁ」
部屋の中で寂しく呟きながら、まず『需要ある?』とコメントした。
するとすぐに『どうした? 話聞きますよ』というコメントが更新される。
今まさにこの掲示板を見ている人がいるなんて……末松は微かに感動を覚えた。
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