ワンダールームへようこそ

7/10
前へ
/10ページ
次へ
 ただいま、戻りました?  このスレッドがどうして伸びているのか……。  末松は気になって、そのスレッドを開いてみた。 『思いきって告白、してきたぞ』  主のコメントの後に『待ってました!』とか『めっちゃ気になってた!』とか、そのコメントの勢いは凄まじいものだった。  末松はそのスレッドの主がどんな人なのか気になって、過去のスレッドも見てみることにした。  二時間くらいかけて、その主のストーリーを読み取る。その主は、恋に奥手なオタク人間らしい。  オタクの男が、偶然知り合ったモデルの女性に告白するという、ドラマにも見たことがある内容が書かれていた。 「これ、現実なのかよ……」  実際にドラマ化できるような展開が……急上昇に上がっている。  掲示板の住人全員が、オタクの主を応援しているみたいだった。  末松のよくある不幸話は、このキュンキュンラブストーリーには勝てっこない。  自分のスレッドよりも脚光を浴びている『ただいま戻りました』のスレッドを追うことにした。 『どうなったんだ?』  結果を焦るような誰かのコメントに返信で『成功したのか……な?』と、オタクの主は返した。  はっきりしない答えにやきもきする末松。  他の人が『流れはよ』と、促すように聞く。  みんながポジティブなコメントを返したくて、ウズウズしているのだろう。 『彼女を狙っているライバルがいたんだけど……その人と話し合うことになって……』  キラキラしたモデルの女の子を奪い合う、ライバルの男……十中八九イケメンなお兄さんだと、想像がつく。  一方この主は、イメージ通りのオタクの男の子だろう。  そんな二人が話し合い?  その書き込みを見て、末松は鼻で笑ってしまった。  そんなの、作り話に決まっているだろうと。 『お前みたいなオタクに、彼女は幸せにできないって言われた。だけど……殴られるの覚悟で言ってやったんだ』  主の投稿後、すぐに『なんてなんて?』とコメントされる。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加