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そこからは忙しかったです。
男の死体を風呂場で、プラモデルの部品でもバラすように解体しました。
たくさん血が出て汚れますから、裸になって、使えそうな大きい刃物を全て使って、頭と腕、手首、足、足首と小さく切り分けました。
終わる頃には夜が明けそうでした。
小学生の頃は、夏休みの宿題を溜めがちだった娘を、最終日に全力で手伝った時のことを思い出しました。
明らかに大人の字で解かれた計算ドリルと、饒舌すぎた読書感想文。
今では娘も自分で宿題を計画的にこなせるようになったので、ずいぶん成長したものですね。
さて、細かくなった部位を浴槽の上に吊るして、これから数日かけて、血抜きをしようと思います。
泣き疲れて、眠っていた娘も起きてきました。
私たちはこれから、いつもの日常に戻れるのだと。
娘を害そうとした男の消えた世界で、私たちの幸せはこれからも続いていくのだと、安心させる意図を込めて、昨夜言いそびれていた「ただいま」を言いました。
娘も目元をグイッと擦った後、笑って「おかえり」を言ってくれました。
もう少し寝てていいよ、と娘を寝室に帰して。
何だか様々な感情を整理したくて、今こうして日記をしたためています。
文字にして書き散らすと、不思議と頭の中がスッキリするものですね。
どこで誰が読むか分かりませんから、事が落ち着いたら燃やそうと思います。
血抜きが終わったら、肉片をドロドロになるまで煮込んで、下水に流す予定です。
骨はさすがに山奥にでも埋めるしかないでしょうか。
そうだ、骨を埋めて家に帰ったら、とびきりの笑顔で娘に「ただいま」を言おう。
言葉を尽くして甲斐甲斐しく慰めるよりも、これから毎日、これまでと何一つ変わらない「ただいま」を言い続けよう。
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