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 つまり、選択一つが人生を左右するというものだ。もちろん、眠れる森の美女が永遠の眠りにつく前に、ニンニクでも食べたら王子様は口づけを拒否しただろう。  そうなると、姫は目を覚ますことはなかった。物語の結末はまったくわからないまま。 「だからあ、選択を誤らないようにしてるのよ」  確かに言い得て妙だ。 「じゃあ、そういうことで今日のランチは和食ね。真輝さん、異存はない?」 「うん...」  タイムカードを打刻して、会社を出ようとした時、空には灰色の雲が浮かんでいた。さっきまで晴れていたのに、雲行きが怪しい。  そう言えば、コタローが今日は急な雨が降ると言っていたな。真輝は朝、部屋を出る時に雨具を持って出なかった。今更悔やんでも後の祭りである。  駅まで小走りに歩けば、問題ないだろう。真輝は競歩選手よろしく、駅へ向かった。  だけど、途中で空からバケツをひっくり返したような大雨。やっばい。自然に駆け足になる。  その時、前から走ってきた男性と正面衝突してしまった。向こうも突然の雨に、注意が散漫していたのか、互いにガチでぶつかった。  雨に打たれた状態で二人は尻餅をついていた。 「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」  男性は紳士らしく、起き上がると、倒れている真輝に手を差し伸べた。 「ありがとうございます」  真輝が男性の手を握った瞬間、雷は鳴っていないが、雷に打たれたような感覚を覚えた。 「すみません。前を注意していればよかったのですが」 「いいえ。僕の方こそ、ごめんなさい」 「あら、ズボンがびしょ濡れ」 「ああ、ドンマイです。すぐに乾きます」  男性はじゃあと言って、そのまま小走りで去った。真輝はカバンを手にして、小走りで駅へ向かった。
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