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そんな星純の疑問にリリーが答える。
「この『セント・マリア魔法学院』では広く門戸を開いているわけでしてね。私達十代(ティーン)がメインとはいえ年齢層の開きはかなりのもので、下は幼児から上は高齢者まで多くが在籍してます。なので、それらの人々を包括する為に学科毎に生徒とクラスを分け、戦闘系魔法から生活に根差す庶民的な魔法の活用まであらゆる魔法を学べる場がこの学院の本質なのです。ですから必ずしも、全てのクラスが天覧試合に参加するわけでは無いのです」
「……じゃああの裏入学式はなんだったんだよ……バリバリのサバイバルだったけど……」
「あれは結果的にレクリエーションだったからな。新入生全員合格は、副校長ほか教員達による既定路線だったのだろうさ」
「いや、絶対面白がってる。絶っっっ対に面白がってやがるあの黒ハンガーラックは」
確信を持って言い切る星純の脳裏には、全身黒ずくめのへのへのもへじ仮面が浮かぶ。一本足の衣紋掛け、黒いハンガーのような様相の副校長ヴァン=ヘルシングは、なんやかやとあの状況を楽しんでいた筈だ。
でなければあんなハイテンションな変態にならんだろう。うんうんと、内心で星純は頷く。
一瞬、遠くで副校長がくしゃみをするが、それは誰も知らない話。『オオット、イヤハヤ人気者デスナワタクシッテバ〜〜☆彡』みたいな事も言っていたのは別に気にしなくて良い話。
再度、ギルバートが話を戻す。
「とかく、今回の天覧試合は戦闘系〈魔法士〉を志望する入学生のみの参加だ。今年の全入学生1208人のうち本職の戦闘系志望はざっと5割程度、うち十代の生徒で出来たクラスは7つだから、参加クラス3つはある程度妥当だ。まあ全員がバトルジャンキーでは国は回らんから、適材適所だろうさ」
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