彷徨う君を探して

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 幾らかの沈黙が流れ、少女も落ち着いたと見た彼は餌撒きを止め、立ち上がりながら少女に手を差し出す。 「……じゃあ、行こうか」 「“やだ”って言ったら、どうする?」  男の掌を取ることなく、少女は座ったまま、そう訊く。 「う~ん」  頭を掻いて、頭を悩ませる男。  少女は俯いたまま動かず。 「“絵を描くのが好き”って言っていたよね?」 「・・・・・」  少女はコクリと頷く。 「そして“色んな景色を絵にしたい”とも言っていた」 「・・・・・」 「君が本気で嫌がるなら僕も無理矢理連れていく事はしないさ。 でも、ずっとここに残っていても何も変わらない……“君”も“景色”も」 「私からもんでしょ? だって貴方は“集める(それ)”が仕事なんだから」  少し怒りの含まれた言葉。 「君はどうしたいんだい?」  選択を少女に委ねる。 「私は……私は……!」 「・・・・・・」 「まだ……やり残した事があるから……!もっと絵を描きたいからッッ!!」 「なら、行こう」  一度引っ込めた手を、もう一度少女に差し出す。 「……うん」  今度は確りと、その手を取るのだった。
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