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二人は手を繋ぎながら、歩幅を合わせ、男が来た道を戻っていく。
それは森の出口へと向かって──
「次はどんな絵が描けるかな」
「その前に君は好奇心だけで行動するのを止めた方がいい」
「えぇ~!何でよぉ~!」
「実際、この森で彷徨う事になったのは誰なんだい?」
「うっ!」
痛い所を突かれて、口ごもる少女。
「アハハ!まぁ、いい勉強になっただろ。次は心配を掛けないようにね」
「何で、こんな私に……こんな身勝手な私に……そんなに親身になってくれるの?
さっきだって、置いていく事も出来たのに……。
それも仕事だから?」
「……いや」
「・・・・・・」
「何度でも言うよ。
君も含めて“皆、平等だから”さ」
そう聴いた少女は頬を緩ませる。
「……ウフフ!有り難う、優しい人」
「いいんだよ、仕事だからね」
見えてきた出口へと向かう二人は光の粒子と為って、徐々に消えていった。
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