7 乍哭の愛

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7 乍哭の愛

 乍哭「どうしたんだよ庵哩」  乍哭「頭でもうったのか?」  俺「うってないよ」  俺「俺の本心だ」  乍哭「やっと、築いたこの関係を壊す気なのかよ」  俺「……俺は、こんな関係を望んでいない」  乍哭「は、ははは」  乍哭「上手く調教したと思ったんだけどな~」  乍哭「ダメだったのか」  俺「なぁ乍哭」  俺「何でこんなことをするんだ?」  俺「俺は、昔のお前の方が好きだった」  乍哭「昔の俺なんてものは存在しないよ」  乍哭「この俺が本当の俺なんだ」  乍哭「俺は、乍哭を愛してるんだよ!」  俺「あい……してる?」  俺「乍哭が、俺を?」  乍哭「そうだよ」  乍哭「だから、庵哩を……」  俺「俺を……?」 そんな素振り、してたか? 乍哭が俺を愛していたとして、 俺に対するあの行動は何なんだ? 俺を、調教したって言ってたよな。 そんなこと、愛している相手にするか? パパさんが言いかけていたのはこのことか? 乍哭の目的は何なんだ。  俺「乍哭、お前は俺に何を求めるんだ?」  乍哭「愛」  乍哭「俺がこんなに愛してあげてるのに、庵哩からは何もないっておかしい       でしょ?」                                                                             俺「は?」  俺「俺は乍哭のこと、親友として好きだぞ?」  俺「でも、それ以上ではない……」  乍哭「俺は庵哩の愛が欲しい」  乍哭「だから、洗脳をしたんだ」  俺「そんなの、どうやって……」  乍哭「薬だよ」  乍哭「世の中には色んな薬があるからね」  乍哭「闇取引をして手に入れたんだ」  俺「そこまでして、俺の愛がほしいのか?」   乍哭「だって庵哩、振り向いてくれないじゃん」  俺「……」    乍哭「俺、ずっとアピールしてきたのに」  乍哭「こんなの、おかしいでしょ」 おかしいって。 こっちからしたら、乍哭の行動がおかしくて、怖いよ。 俺の知っている乍哭はもういないのか? 今までの関係も、全部、嘘だったのか? 何もかも信じられなくなってきた。 やっぱり、パパさんの話が真実?  俺「なぁ、お母さんは?」  乍哭「だから、交通事故で死んだって」  俺「お前が仕組んだとか言わねぇよな?」  乍哭「まさか」  乍哭「俺のママでもあるんだよ?」  俺「そう、だよな」  俺「俺は乍哭の愛を受け取れる気がしない」  俺「ごめん」  乍哭「は?」  乍哭「庵哩まで俺を認めてくれないのか?」  乍哭「俺は、どうすれば……」  俺「認めねぇわけじゃねぇよ」  俺「恋愛を受け入れられないだけだ」  俺「このまま、親友がいい」  乍哭「俺の想いを捨てろってこと?」  俺「それは……」  乍哭「庵哩、絶対俺を好きにさせるから」 そう言って乍哭は家を出ていった。
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