8 父、襲来

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8 父、襲来

俺は一人になった家の床に寝転ぶ。 乍哭……大丈夫かな? 俺は、どうするべきだったのだろう。 やっぱり、俺は乍哭とは親友がいいんだ。 乍哭の気持ちに答えることは出来ない。 ……アイツはこれから何をしてくるのか分からない。 俺を調教してくるやつだぞ? もっと、ヤバイことになる可能性も……。 ガチャッ  俺「誰だ?」 鍵、閉めてなかったのか。 不審者?もしくは乍哭か?  ??「おぉ、庵哩か」  俺「誰、ですか?」  ??「実の父に向かって誰、とは」  ??「俺だよ俺」  父「江口のりおだ」  俺「のりお……?実の父……?」 コイツが……俺のお父さん?  俺「本当に、お父さんなのか?」  父「そうだ」  父「ゆうこが亡くなったんだってな」  俺「うん」  父「ゆうこの両親も、か」  俺「お父さんは何で俺に会いに来なかったの?」  俺「お母さんから聞いたよ、自分で育てるからって」  父「……すまんな」  父「出張だったんだ」  父「だから、今日会いに来たんだぞ?」  俺「今さら会いに来てもッ」 父も母も会いに来てくれてたら、俺は普通の人生を歩めていたのに。  俺「お前らのせいで俺の人生はめちゃくちゃになったんだ」  俺「親友も失った」  俺「みんな、失ったんだ」  父「……」  俺「俺も、普通の人生を歩みたかったんだ!」  父「本当に申し訳ない」  俺「謝罪なんていらない!」  俺「どうせ、本心ではウザいとかそういうこと思ってるんだろ!?」  父「そんなことはない」  俺「大人がみんなそういうよな」  俺「その言葉、信用ならねぇよ」  父「少し、遅いかもしれんが」  父「一緒に暮らそう」  父「今からでも普通の人生を歩もう」  俺「少しどころじゃねぇよ……」  父「俺の実家に行こう」  父「一から始めるんだ」  俺「……わかった」 こんな父についていくのはどうかと思うが、 行けば新しい環境で友達も作れるし、 乍哭とも離れることができる。 それに、父方の祖父母もいるはずだ。 なら、安心かな。  俺「まだ、認めたわけじゃねぇからな」  父「……あぁ」
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