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俺「お父さんなんか、来てないぞ?」
ママ「え?」
俺「それに、祖父母は亡くなった」
俺「事故死だった」
ママ「そんな……」
乍哭「……これからどうするの?」
ママ「……夫には何も話してないの」
ママ「不倫のことも何もかも、ね」
俺「話した方がいいじゃないか?」
ママ「そうね」
乍哭「今日、庵哩の家に泊まるよ」
乍哭「二人の空間がいいでしょ?」
ママ「……ありがとう」
そのまま、俺の家へと向かった。
俺「今日の晩御飯、何がいい?」
乍哭「庵哩の好きなものでいいよ」
俺「じゃぁ、ハンバーグな」
乍哭「おぉ~手伝うよ」
乍哭「ハンバーグなら、作れるから」
俺「ありがとう」
乍哭「俺のパパ、ヤバいんだ」
俺「え?どういう……」
乍哭「夜遅くまで帰ってこないし、酒に煙草」
乍哭「あと、普通に暴力ふるうしな」
俺「じゃぁ、お母さんは?」
乍哭「……最悪の場合、死ぬ」
俺「そんな……」
俺「戻ろう!」
乍哭「やめとけ」
乍哭「お前も死ぬだけだ」
乍哭「ママの運命なんだよ」
俺「だとしても……」
何でだよ。
やっと、お母さんを見つけたのに。
それも、失うのか?
何もせず、ただ助かることを願うだけなのか?
乍哭「助かる可能性もあるよ」
乍哭「結果を待とう」
俺「イヤだ……」
俺「乍哭も嫌だろ?」
俺「お前のママだろ?」
乍哭「庵哩はパパの怖さを知らないからそう言えるんだ」
乍哭「俺も、殴られてるんだよ」
俺「虐待じゃないか」
俺「通報しよう」
乍哭「……ダメだ」
乍哭「なぁ、庵哩」
乍哭「久保グループって知ってるか?」
俺「有名なグループだよな」
俺「色んなことしてる」
乍哭「パパはそのグループの社長」
乍哭「言い換えると組長だ」
俺「組長?」
俺「ヤクザみたいだな」
乍哭「……ヤクザなんだ」
乍哭「俺のパパはヤクザなんだよッ!」
俺「は……?」
乍哭のパパがヤクザ?
そして、久保グループの社長?
それが、本当だったら……。
俺「権力で潰されるのか」
乍哭「そうだよ」
乍哭「だから、止めるのはやめろ」
俺「じゃぁ、どうするんだよ」
俺「ずっと、お前のパパのいいなりか?」
乍哭「仕方ないだろ」
乍哭「死にたくないんだよ」
乍哭「グループを撲滅させることが出来るなら、やってもいいけどな」
俺にそんな力はない。
俺「そんなの、おかしい……」
俺「どうして、弱いものは……」
何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で
何で俺の人生はこうなんだよ。
俺は家族が欲しいだけなのに。
何でこんな目に……。
俺「俺は家族に恵まれてないんだな」
乍哭「……そんなことねぇよ」
乍哭「俺と、暮らそうぜ」
俺「乍哭……」
乍哭「一応、兄弟だろ?」
俺「分かった」
俺「一緒に暮らそう」
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