ざまぁず

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「マッマー・スネオーノ、君との婚約を破棄する!」  ドラドラ国の城で行われているパーティーの最中、高らかに告げる声が大広間に響く。  驚く人々が声の主に目を向けると、この国の王子であるタケーシ・ジャイアーンが可憐な少女を片手で抱きしめて立っていた。その瞳は向かい合う1人の女性を睨みつけている。 「あら、いきなりどうしたざまぁすの?」  向かいに立つ女性――マッマー・スネオーノは手にした扇で口元を隠しながら、小首を傾げた。 「とぼけても無駄だ! 君はこのノピータ・ノビールをいじめていたそうじゃないか! そんなことをする者は将来の王妃にふさわしくない!  よって婚約を破棄する!」  タケーシはビシッとマッマーを指指す。  マッマーは反対側に首を傾げた。 「いじめとは何ざまぁすの?」  フンッとタケーシは鼻を鳴らす。 「シラを切るつもりか!?   ノピータに今日や明日の夕食はステーキだと自慢していたそうじゃないか!  裕福でないノピータを嘲笑っていたんだろ!」 「ただ事実を言っただけざまぁすよ」  マッマーは呆れたようにタケーシを見た。 「それだけではない!  ノピータがテストで0点を取った時『もっと勉強しなさい』と馬鹿にしたそうじゃないか!」 「当たり前のことを言っただけざまぁすよ」  タケーシの言い分に、マッマーだけでなく周囲の者も、呆れた目で王子たちを見ている。 「言い訳など聞きたくない!  君は私が見染めたノピータに嫉妬したのだろう!  そんな者を許すことはできない!  婚約破棄だ!」  タケーシが力強く宣言した瞬間、  パカリッ  とタケーシとノピータが立っていた床が傾いた。
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