第一章 恐怖の発端

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第一章 恐怖の発端

西暦2020年代・年号令和  某月某日某県 とある某政令指定都市 文武両道を誇る某地方高校にて ガチャン…… ガラガラガラガラーーーーー すぅはぁ 僕は図書室のうららかな朝の空気を吸い込む うららか?? えーっと違うか ちょっとばかり埃っぽくカビ臭いような…… ううん?? でも安心出来る甘い印刷物のインクの匂い? 独特のそんなような〜 何かそんな感じのどこか郷愁をおびた懐かしく好きな香り 今日は僕、伊織ことイオがこの図書室・責任者の図書委員だから当番として早く来た この”イオ”というのは友人が付けた『あだ名』だ 高校なんか名前でキチンと呼ぶ子なんか居やしない 苗字の略称かあだ名で、各各殆ど呼び合ってるから、結構『誰?』 突如本名で名乗られると困ったりする 今時の”高校生あるある”だ さて今からはキビキビ仕事だ 沢山ある時代がかる大きなガラス窓を開けて、たっぷりの空気の入れ換えと、自分がは言ってきた物とは違う出入り口〜 校門に面した側に設置の巨大観音開き、おっもい両開きのガラスドアの掃除もチャッチャとせねばならない 観音開きの両開きの扉は基本内鍵で、外からも職員室に保管してある鍵で開けられるけど? この”内鍵”を開ける権利があるのはここを管理の司書の先生と図書委員長と、後は朝早出当番の図書委員だけなのだ 因みに図書委員長は最高学年の高校3年の在校生が”なる”事に慣例で決まっている 今年は僕が担当者だ 去年は去年で大忙し 何故なら生徒会の会計と、更にクラス選出の校内美化役員関連で大活躍 この美化委員というのは金曜日の帰りの小一時間はタップリ潰す大変な役どころだ 校内全部の掃除道具及び乱れの総チェックの為縛りがかかる、全く中々ハードなお役目があるお仕事なのだ 「掛け持ちはウンまぁ大変だったよ」 美化委員は他の委員会とは決定的な違いがある 前期〜1学期、後期〜2学期・3学期コースの二期制なのだ だから仕事も多いし任期も長いから生徒皆嫌がるからホンット中々担当者が決まらない そんで自分はこの厄介者の美化委員を何の因果か? どう考えても大変な方の”後期”を、高1と高2 ……しかも2度もしてしまったのだ! そうなると! 「あなたベテランだよね〜〜!」 「好きなんでしょ?お掃除?」 となる訳!! 挙げ句に先生方からも有り難くない「ご指名」 「じゃ美化委員長は最高学年で選ばれる決まりだからイオで決まりだね〜!」 お願いです ニコニコしながら、そういう重大な事は勝手に決めないで下さい〜!! っっっ 高校3年の受験期に勘弁して欲しい〜〜っ! で自分は今を去る事数ヶ月前〜の4月期に一計を案じた   図書委員だけは任期1年なのだ い〜〜じゃん? い〜〜〜じゃない〜〜! い〜〜アイディアじゃない〜〜!! 学校ぐるみの奇妙な”虐め”からも逃れられるし?! それに個人的な”とある事情”も思い浮かび ぶふっっ で、ハイハイハイハイハイハイっと 「重い物(本)を持つから嫌!」 やっぱりイマイチ不人気な図書委員に新学期早々のクラス役員決めの際、席を蹴飛ばさんばかりに立って自ら立候補! 「ほ、ホントに?イオはいいの?」 ギョッとする顔の担任先生にこくこく大きく頷き、今時レトロな、決して最新式のA.I搭載ホワイトボードとかじゃ無い、旧態依然のモスグリーンの黒板に大きくデカデカ名前を書いて貰った (ウチの学校は伝統的に大層物持ちが良いのだ) きゃーやったぁ!! 見事希望をゲット! で、ウキウキしながら”第1回目の図書委員会”に出席 その場で早々に最高学年役員生徒、高校3年全クラス計7クラス分の委員で集合し代表者である委員長を決める事になった 「ジャンケンにしよう」 「嫌!私弱いモン」 「じゃぁ”あみだくじ”ね?」 何所も責任有る長を決めるのは散々揉めるんだ 在校生のお母様方の悲哀が良くわかる ボランティア活動として、学校運営に携わる人事、つまりクラス役員を選出する総会の時、ホントに血を見そうな程荒れるらしい あ〜〜 美化委員長は毎年ほぼ担当教諭からの”ご指名” ハードな仕事だからあんまり有り難くない「内定」 他の委員とは違い、直々に前年度に既に打診があって決定すると言われてる で事実「その通り」だった 僕は大学受験を理由にキッパリ美化委員長を断った 「そぅ、じゃ仕方が無いわね、あなたベテランだから頼りにしてたのに」 「陰ながらお手伝いはしますから」 「イオ君は良い子ねぇ、期待してるわよ?」 「任せて下さい」   残念無念な顔をしてたけど美化委員の担当教諭、サギ先生(本名:鷺崎聖良。サギはこれも生徒共通の呼び名です)はわかってくれたんだ   さてと 図書委員長決めの「最終決戦」! 自分はジャンケンにも、何故かくじ引きにもキッズの時から異様に強い だから今年1年はノンビリだと本気で確信していた 考えてみれば高校入学から忙しかったよーーー! フワァやっと掴んだ夢の窓際ご隠居生活〜〜〜!! 嬉しい 実に善き事だ♡ 神様あざますッッッ 「じゃ名前書いて〜〜!」 「1人何本横線を書くの?」 「2本が妥当じゃ無い?」 「うんい〜ねぇ……!」 ところがここで突如大問題が起こった 「私嫌だぁ〜……!!!!」   サァ大変! 「あみだくじ」で図書委員長に決定の、A組の女生徒が大号泣し始めたのだ   当然くじを不承不承引いた3年は一斉に目がつり上がり、唯でさえもイヤイヤ集まっていた集団の会合はゴゥゴゥ紛糾した   「泣けば逃れられるの?!」 「!決めた事だし?!」 「ぁのねぇ〜アンタだって納得した事じゃん!」 しくしくしくしくしくしくしくしく …… もうギャンギャンの阿鼻叫喚、地獄絵図だった
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