生首ラーメン

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 でもなんやろ、親父が二十四時間スープにつきっきりで鍋見張ってる映像が見えた。親父ちょっと若いし。俺がベース背負って帰ってきた。このころ俺バンド活動に夢中で親父のこと好かんかったんや。イノシシ臭いしな。俺の部屋、ラーメン屋の二階やから、服をベランダで干したら全部イノシシラーメン臭くなる。でも、親父、今みたいに十二時間スープ煮込むより二十四時間煮込む体力あったんやなー。  なんて、俺のちょっと知らん親父の姿見えたけどなんなんこれ。  気持ち悪いから帰ろ。  席立ったとき、若店主の醤油顔が俺を見つけた。 「あ、ロンゲラーメンの戸部さんじゃないですか」 「繁盛してるやんか?」 「おかげさまで。勉強させてもらってます」  パクリやろ。心なしか上田君がこっちをちら見して、そっぽ向いた気ぃするんやけど。 「うちのは美味しいだけじゃないんですけどね。よかったら、また来て下さい」  煽るやん。でも、美味しいだけやないってなんなん?
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