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 学校終わりに、本屋に寄った。  市の中心に位置する駅ビルの中にある本屋だ。家から少し離れた場所にあるけど、品揃えがいいので、たまに来る。  店の入口近くには、最近映画化された原作小説が目立つように置かれていた。本を手に取り、作者名を見ると、「大宮うさぎ」と書かれている。 「うさぎ……か」  名前から雪兎さんを思い出す。  無愛想な雪兎さんと、小さくてかわいいうさぎが並んでいる姿を想像してしまい、笑ってしまいそうになる。  なんとなく親近感が湧いた僕は、本を買うことにした。  その後、駅ビルをブラブラしていると、知り合いがカフェにいるのを見つけた。あの巨体は見間違えない。雪兎さんだ。 「雪兎……」  声を掛けようとしてやめた。向かい側に女性が座っていたからだ。  雪兎さんは女性の話に頷いたり、たまに笑ったりしていて、とても楽しそうだった。  その様子に、頭をガツンと殴られたような衝撃が全身を貫いた。思わず体がよろめき、その場に座り込む。上手く、息が吸えない。  どうして……気づかなかったんだ。  雪兎さんだって、恋人くらいいるだろう。結婚だって考えるようになるかもしれない。  もし、そうなったら僕はどうなる?   また、捨てられるだけじゃないか。
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