第0章 序章

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第0章 序章

宇喜多秀家 「身体がどれだけ離れようとも 心はふたり、少しも離れず…ともにあるという事を豪も信じて欲しい。」 豪姫の初恋相手で結婚相手でもある 宇喜多秀家は…息子達と共に八丈島へ流罪となる前に豪姫と2人の愛が永遠に続く事を誓い合いました。 西暦1606年〈=慶長11年〉07月07日。 前田豪姫「無論、信じますとも…。 身体は離れていても絆は深いのが私達夫婦ですよ?私の愛する人は秀家様お一人でございます。」 前田利長「兄としては…何だか複雑な気持ちもあるのだが…私も永だけを生涯愛すると決めていたから…豪の事は私に任せなさい。前田家で面倒を見るから…八丈島でも達者で…」 前田利家の嫡男で織田信長の娘である永姫を正室として迎えている前田利長は複雑な顔をしながらも八丈島へ流罪となった妹婿の無事を祈っていました 前田豪姫「八丈島でも御無事で… 私以外の女を可愛がる事だけは何があろうと嫌ですから…!」 豪姫から言われた唯一の願いを聞いた宇喜多秀家は豪姫を抱きしめると… 宇喜多秀家「そのような事、 あり得るはずがなかろう…」 豪姫はそのひと言を聞き、 安堵のため息を1つ吐きました。 すると… 宇喜多秀高「母上、御安堵下さい。我々の存在こそが2人の愛が存在している証ではありませんか…?」 宇喜多秀継「母上、 何も怖がる事はありません。」 豪姫「秀高、秀継。母が恐がっているのは…いつになったら秀家様に逢えるかどうか分からないと言う事ですよ。それに…貴方達にも…いつ逢えるのか…」 徳川家康からせめてもの情けをかけられた形で前田豪姫と宇喜多秀家、秀高、秀継が最後の面会を果たしたのは前田利長が所有する江戸の前田屋敷でございました。 前田豪姫「私も八丈島へ共に行きたいのですけれど…」 島津忠恒「それだけは…ならぬと大御所様は仰せでございました。」 島津忠恒(しまづただつね)…現薩摩藩藩主であり宇喜多秀家を匿っていた命の恩人ではあるものの今回、江戸幕府の要請により八丈島まで宇喜多家の家族を連れて行く役を任じられた。 前田利長「聞き分けよ。豪。」 前田利長(まえだとしなが)…豪姫の兄で加賀藩の藩主をしておりどうやら1番父親である前田利家に似ている。 豪姫「私だけ家族と引き離される沙汰がせめてもの情けだと言われても納得が出来ませぬ…」 前田利長「…それでも納得しなければ前田、宇喜多、島津家の存亡に関わって来るのだ…。」 前田利長は今にも泣き出しそうな顔をしながらも妹へ厳しい言葉を口にしたのでございます。 前田豪姫「…分かっております。」 豪姫は、 まだ幸せだったのかも知れません。 前田千代姫「姉上は…まだ幸せな方ではありませんか?私は離縁する事になり娘達と元夫と引き離される事になったのですよ?」 千代姫は豪姫と利長の妹で細川忠隆に嫁いでいましたが細川ガラシャを喪い絶望した細川忠興の逆鱗に触れ離縁する事となってしまいました。 前田利長「関ヶ原の戦いは我が前田家に試練を齎した戦いだったのかも知れんなぁ…」 深刻な話をしている時に限って飛び出す前田利長の寒い軽口に… 前田利常「兄上、皆が凍りついておりまする…少しばかりその軽口をお控えになられては如何ですか?」
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