童話 ほっぺにいっぱい

2/4
前へ
/4ページ
次へ
「ほら洋介(ようすけ)。お待ちかねの(あたら)しい家族(かぞく)だ」  そう言ってお父さんはでっかい(はこ)を持ってきた。  ぼくはすっごくうれしくて箱の前に正座(せいざ)した。  ジャーンっていうかけ声といっしょに箱が開けられると、小さなどうぶつがカゴに入っていた。どうぶつはプルプルとしながらうずくまっていた。 「(こわ)がっちゃうから、しずかにな」  お父さんのことばにうなずいて、ぼくはそっとどうぶつを見た。  ん?  ぼくはちょっとちがうような気がして、じっと見つめた。どうぶつえんで見たものよりも、ずっと小さいように思ったから。 「どうぶつえんのは、もっとずんぐりとまるまるだったよ」  ぼくがそう言うと、お父さんはちょっとあわててパソコンでしらべだした。 そして「あー!」という声を出して、ぼくに言った。 「あのな、動物園(どうぶつえん)にいたのはモルモットみたいだ。この子はハムスターで、ちょっと(ちが)ったかもしれない」  でもこの子だってかわいいだろってお父さんは笑って言った。  ぼくも小さくってかわいいなって思ってたから「うん!」って大きくうなずいたんだ。  うちに来たハムスターは「ハム」って名前にした。  今はケージにある回し車をいっしょうけんめいに走って回している。ぼくは少しはなれたところからハムが走っているのを見ていた。「あんまり(かま)うと病気(びょうき)になっちゃうぞ」ってお父さんが言ってたから、ちかくで見るのは一日に一回って決めたんだ。ちなみにエサをあげるのはぼくの役目(やくめ)。だからエサの時にはゆっくりとやってあげて、その間はハムがうごいてるのをじっと見るんだ。 さわりたいけど、ガマンガマン。 【つぎのページにつづく】
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加