婚約破棄は計画的に。

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 ……誰にも責められなかったけど。  むしろ「よく証拠を録音した」とお父さまから褒められた。  ちなみに、この件でマルコムさまのところで雇われていたメイドたちは、全員逃げたそうだ。自分の悪行を暴露されたマルコムさまは、ひとりぼっちになったらしい。  これも伝え聞いたことだから、本当かどうかは知らない。  でもまぁ、知らなくてもいいかな。  グレアム殿下とエミリアのことも、どうでもいい。  だって今、わたくし……すっごく幸せだから!  一番の復讐は幸せになることって、前世で誰かが言っていたけど、確かにそうかもしれないわね。  だけどもしも――あの二人が目の前に現れたら、数発殴りそうになるだろうなぁ。 「ルイス殿下、デートしましょう! 幸せを噛み締めたいです!」 「では、王都のカフェで甘い物でも食べに行きましょうか?」 「ぜひ!」  わたくしはルイス殿下と、それこそ『真実の愛』をつらぬこうと思う。  前世からの推しだけど、『アイリーン』としてわたくしは彼に恋をしているのだから。  この愛を、大事に育てていきたいの。  誰にも負けないくらいの愛を、ルイス殿下と育てていくわ。  きっとそれが、わたくしがこの世界に生まれ変わった意味だと思う。  ルイス殿下はわたくしをエスコートしようと、手を差し伸べる。  その手を取って、彼を見上げた。  にこりと微笑む彼に、わたくしも微笑む。  ――この幸せを、続けていくの。彼と一緒なら、きっと大丈夫。  そう、確信しているのよ。
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