13人が本棚に入れています
本棚に追加
葉山side
俺には自慢の同期が居て
その同期には秘密があって
俺は、その秘密を偶然知ってしまった
その秘密の為に
そいつが、ずっと1人で頑張って生きてきた事も
そいつには、名前も似てれば
顔なんて、名前聞かなくても親子か兄弟だって分かる息子が居て
その息子が、嬉しそうな顔で
「夏と…一緒に…死ねる」
そう言って、友達の手を握ってた
「何……雪…死にたい願望とかあんの?」
俺の問いに
手を握られてる友達が答える
「雪にとって…そう思うのが、心の支えなんだと思います」
死ねるって思うのが?
こいつら…
どうなってんの?
普通…止めるだろ
目、覚ませって…怒るだろ
「お前ら…ヤバいサイトとかで知り合ったの?」
「いえ…高校の同級生です」
「雪…ずっとそんなんなの?」
「…おばさんが亡くなってから…少しの間、行方不明になってて…ようやく見付けたら…こんな感じで…」
そう言いながら見上げた先には
写真…
「もしかして…それ…」
「雪の母親です」
!!
反射的に目を逸らす
これは…
なんか、これ以上
俺が先に、見たらダメな気がする
「ちょっとさ…色々情報パンクだから…とりあえず俺、お粥貰って白峰んとこ戻るわ」
「はい。白峰さんもお大事に」
「ああ…」
雪もお大事にとか…言えなかった
雪は、お大事にされたくないのか?
死にたいけど…
その子とは一緒に居たいのか?
矛盾してるな
高校の同級生…
何年位の付き合いなんだか
随分信頼し合ってるんだな
白峰ん家に戻ると
「葉山…」
「あ…起きてたのか」
「ちょっと前に……それは?」
「卵粥貰って来た」
「貰って?葉山…この辺に知り合い居るの?」
「……とりあえず、昼食おう」
「うん…」
時間かかるけど、ちゃんとお粥食べれてる
それ、息子も同じもん食ってんだよ
どっから、どう話すべきだ?
「葉山…もしかして食欲ない?」
「…え?いや?」
「ずっと俺の看病してたから…うつっちゃった?」
「ちょっと考え事してただけだ……白峰、声少し良くなったな?」
「うん…葉山のお陰。もう大丈夫だよ。葉山、家帰ってゆっくり休んで?」
病み上がりに…
ってか、まだ調子戻ってないのに
重過ぎないか?
でも、俺だけ知ってるって
どうなのよ?
「……あのさ…白峰」
「何?」
「ちょっと…重めの話しても…大丈夫か?」
「勿論だよ。話聞くくらい…俺で役に立つのか分かんないけど…」
「…ちょっと待ってて」
役に立つのかってか
白峰の事なんだけどな
鞄の中から
すっかり忘れられてた、いつかの茶封筒を取り出し、椅子に戻る
「実はさ…白峰が寝込んだ次の日…だったかな…白峰ん家に入ろうとして、合鍵探してたら…大学生くらいの男の子が来てさ…これ…渡されたんだ」
白峰に封筒を渡す
「…中…見ていいの?」
「白峰に渡して欲しいって言われたんだ」
「俺に?」
驚いている白峰に
その時の事、俺が勘違いしてしまった事
今日まで、すっかり忘れてた事
そして…
今日…再会して、その子が誰か知った事を話した
「……柊崎君?柊崎君が…」
白峰が、封筒の中身を確認する
「柊崎君の…連絡先…」
「悪い…俺、うっかり白峰が雪の事気付いてるの話しちゃって…俺が話すべき事じゃないのに…」
「柊崎君…なんて?」
「雪も必死に生きてるから…話聞いて欲しいって……雪は…白峰が父親だとは気付いてないって…」
「……そう」
だよな…
何思えばいいのか…
混乱中って顔だ
必死に生きてるから…の意味…
ほんとに
必死に生きてるんだろう
間近で見て来た柊崎って奴は…
だからこそ、あんなに必死なんだ
「白峰とちゃんと話すまでは、雪に話すつもりないって言ってた。白峰には…白峰の人生があるし、白峰が最終的に言わないで欲しいと思ってるのに、言うつもりもないって言ってた。すげぇ…一生懸命話してた」
「~~っ…そっか……ありがとう……葉山…柊崎君に会って…話してくれて…ありがとう…」
ほんとは、もっと元気な時に話してやりたかったけど
向こうも、結構…
切羽詰まってそうだったから
「話…聞くし、相談に乗るから」
「ありがとう…」
「白峰…このお粥、半分は雪に食べさせるんだって言ってた。お前ら、会ってもないのに、なんで同じタイミングで風邪引いてんだよ」
「~っ…そっか…雪君と…っ…同じ物…食べてんだ…っ…」
「せっかく治ってきたんだから…あんまり泣くなよ?」
「うんっ…」
雪は…
どういう気持ちで、会いたいと思ったんだろう
会って…
どうしたいと思ってるんだろう…
あんな雪の様子
白峰に言えない
母親が死んでからって言ってた
母親が全てだったんだろうか
今は誰が面倒見てんだ?
白峰に似てるって叔父か?
じいちゃん、ばあちゃん?
それとも、柊崎って子の家に世話になってる?
死にたがってる息子に会わせて大丈夫か?
白峰…壊れちゃわない?
けど…雪はもう壊れてそうだから
「ご馳走さまでした」
「全部食えたな?」
「うん。早く元気にならなきゃ。葉山、ほんとにありがとう。もう大丈夫。家でゆっくり休んで」
「分かった。けど、しんどくなったら、いつでも連絡しろ」
「うん。ありがと」
気のせいかもしれないけど
なんか…急に元気になった?
しっかりした?みたいな…
気合い…入ったのかな
弱ってる場合じゃないって
「よし!帰る準備でもするか」
数日ぶりに、自分の家に帰る準備をする
これから白峰は、色々大変だ
いつでも、すぐに飛んで来れる様に
俺も気合い…入れとかなきゃな
最初のコメントを投稿しよう!