俺:養え!灯織:うん。養うっ

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 今日は金曜日。華の金曜日。  おもちに出会う前は、本カノに振られて家を追い出されて人生に絶望してたけど、今はやる気に満ち溢れている。あの本カノとはもうヨリが戻せそうにないから、新規のお姫に貢いでもらおう。そのためには、まずは初回。名刺を渡して、にこっと笑顔。 「わ〜かわいい!」 「えへ、ありがとうー!」  新規のお姫に缶ものを頼んでもらい、がぶがぶ飲み干す。もっとだ。もっと酒をくれ。早く酔いたい。おもちを養いたいんだ。綾人との半分この家賃とかもろもろ。ちゃんと払いたい。俺のこと保護してくれた人だから。 「ねえねえ灯織くん何歳なのー?」 「再来月で22だよ!」 「私のほうが年上ー。こんなかわいい男の子見たことない。都会はすごいね。さすが歌舞伎〜」 「シオリちゃんはお姉さんなんだー。年上の落ち着きと余裕な感じがいいね。甘えんぼうしたくなっちゃう。もっとお酒飲みたいなー。今夜は酔わせてくれるよね?」  自分でも、今日はきゅるるんモードがアツい。激しい。こんなにかわいくて、こんなに酒ヤクザでかっこいいホスト俺しかいないって。だからね、お姉さん。俺のことだけ見て? 俺のこと養って? 「いいよー。おねだり上手なんだね。じゃあシャンパンおろそうかな。灯織くんのオリシャンある?」 「あるある! 恥ずかしいんだけど、まだ在庫残ってる。だから下ろしてくれたらとっても嬉しいのだ」  はむはむ顔をすると、シオリちゃんはにこにこしながら俺の頭を撫でる。  えへへ。身長189センチだけど、小さくなるフリをする。  フロアがきらきらと輝きだす。照明が暗くなり、雪さんがシャンパンコールをしてくれる。20人近いホストが俺とシオリちゃんの卓を囲ってくる。オリシャンを開けて、シオリちゃんのグラスに少し入れて、俺は直瓶した。久しぶりのオリシャンの味。焼酎とメロンソーダ割りなの、めちゃうまいし、飲みやすい。オリシャンには俺の盛れてる顔がガッツリ印刷されてる。たしかこの時はハロウィンで狼のコスプレをしたんだっけ。俺は狼耳がよく似合う。 「今日初回指名なんですけど〜灯織くんがかわいすぎるので、オリシャン入れましたー。まだまだ飲めるみたいなんでたくさん酔わせてあげてくださーい。よいしょー」  マイク片手にご満足の笑みを浮かべるシオリちゃん。  シオリちゃん慣れてるな。さっき今まで1回もホスト行ったことないって言ってたけど嘘だあ。シオリちゃんの手からマイクを取り、ギャルピースと一緒にフロアのキャストに話す。 「初対面のお姫にーオリシャン入れてもらいましたー今月はなんばーわん目指して頑張るんで、ヘルプの子もたくさん飲ませまーす。よいしょー」  煽るの好きすぎる。俺って天才。ホストは天職かもしんない。  マイクパフォーマンスが終わった後も、卓についたヘルプの子にもシオリちゃんはオリシャンを飲ませてた。
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