灯織のアイディアには猫愛が溢れている

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「どうしたんだよ、いきなり」 「なんか、綾人の手骨ばっててごつごつしててかっこいいし、俺の手なんて女みたいに小さいし、折れそうだし、綾人に触られてるときのおもちが気持ちよさそうな顔してるから俺だって気になるんだもん」  1呼吸でまくしたてるように、灯織が言葉を零す。 「俺のことも保護したんだから、もっと愛情込めてお世話しろ」 「……」  いやいや、お前さん。愛情込めて世話してるつもりですよ、こちとら。22歳になった君の誕生日もお祝いしたでしょう。この前。苺のホールケーキで。忘れたのか? 「愛情込めてお世話してるつもりだけどな。何が足りないんだよ」  「うー」と言葉を濁す灯織。数センチだけ目を泳がせてから。 「ぎゅってしてえ」 「ん?」  両手を広げて目を瞑っている灯織。その身体が小刻みに震えている。甘えんぼう将軍になった灯織に驚きつつも、まあ減るもんではないしと己に言い聞かせ灯織を腕の中に囲った。 「ん。香水、どこの?」  数秒押し黙ったあとで灯織が掠れた声で聞く。 「韓国」  柚音先輩と、去年韓国旅行に行った時に買った香水を付けている。ムスクとアプリコットの甘い香りだ。めちゃくちゃトップが強いわけじゃないから、部屋でも付けられる。   「今日から寝る前に俺にも1プッシュして」 「別にいいけど」  「はぁい」と頷くと、灯織は綾人の肩に頭を乗せて動かなくなった。綾人の背中に回されていた手がだらりと床に落ちる。  こいつ、寝落ちしたな。どうするんだ。これ。 「なー」  寝室からおもちがとたとたと出てきた。綾人と灯織の抱きついている様子を見ると、ダッシュでその2人の隙間。お腹の辺りに飛び込む。ごろごろと喉を鳴らし、おもちも爆睡。灯織も爆睡。  俺はどうすれば……。  30分後、綾人選手、爆睡。
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