chapter5 あなたたちとは違う

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 当然、行く――  そう言いたげに、3人で頷き合った。そう、思っていたのだけど……加地くんは私のリスト端末に向けて横入りして話し始めた。 「あ、おばさん。加地っす。俺、今日は家の手伝いがあるから行けないです。すみません」  続いて弓槻さんも、私の端末に向けて話した。 「弓槻です。私も今日は部活があって、行けないんです。ごめんなさい。行くのは、天宮ヒトミちゃん一人です」 「え!?」  三人で行くものと思っていたのに……!  私の混乱はよそに、おばさんは「そう」とだけ言って、コールは終了してしまった。  一人で行くことが、確定してしまった。 「加地くん、弓槻さん……なんで!?」  縋るように言うと、加地くんは困ったように顔を背けた。 「いや、明日は行くぜ? でも今日は……なぁ?」  加地くんはそう言って視線を弓槻さんに向ける。弓槻さんは、頷くとまっすぐにこちらを見返して言った。 「あのねヒトミちゃん、言い出せなかったけど、あの日……かなり重要なこと、話してたよね。深海くんのことで……」  思わず、肩が跳ね上がった。  そうだった。あの時、二人は私たちが話していた教室のすぐ外にいたんだ。ドアは閉まっていなかったから、外に声は聞こえていた可能性が高い。 「あ、あの……あれは……」  あたふたする私を、加地くんと弓槻さんが左右から宥めた。 「いいんだよ。深海が話していいって思ったら、聞くからさ」 「でもさ……あの時あんな話をしたのって、相手がヒトミちゃんだから、なんでしょ?」 「それは、まぁたぶん……」 「うん。事情は知らないけど、そんな大事な話ができる人が、一番会いたいんじゃないかなぁって思うんだよね」 「加地くん、弓槻さん……」  そんなたいそうな関係じゃない。ただ、同じクローンで、オリジナル同士が仲良くて、記憶の内容に共通部分がある……ただ、それだけの関係なのに。  だけど、加地くんも弓槻さんも、譲らないようだった。  私も、断ろうとは、思わなかった。  ナオヤくんに会いたかった。皆と一緒の時のナオヤくんではなくて、私と一緒にいるときの、私の姿を瞳に映すナオヤくんが。  私は、二人の厚意に甘えて、そのわがままを通すことにしたのだった。
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