(13)教授、気付いてしまう

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「千波さん、ちょっといいですか?」  現れたのは、千波の後輩の刑事・深井圭市だった。  千波を呼びにきた深井だったが、神里たちの姿に気付いて軽く頭を下げる。 「あ、神里先生。どうも、お疲れ様です」 「ああ、そっちもご苦労さん」  神里は軽く手を挙げて返した。 「深井君、何か用?」 「はい。例の防犯カメラの映像が取れたので確認作業をしようかと」 「ああ、あれね。分かった。すぐ行く」 「お願いします」  そう言うと、深井は踵を返して足早に立ち去っていった。  その後ろ姿が完全に見えなくなってから、神里は言った。 「忙しいみたいだな」 「ええ。上の指示とは別に隠れてこそこそ調べてるものですから」 「なるほどな」  納得したように頷いて、神里は千波に向き直る。 「ところで、さっき言いかけたのは何だったんだ?」 「ああ、そうでしたね」  千波は神里の質問に答えるべく口を開こうとした。  ──その時、今度は耳をつんざくような泣き声が響いてきた。  何事かと思い、全員がその方を見る。  待合ロビーに並ぶソファ。その片隅で悲鳴を上げながら泣く女性が居た。
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