(4)配達員、現れる

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「ん? 誰だ?」 「さあ。とにかく出ます」  手に取ったコーヒーカップを再びテーブルの上に置いて、藤本は扉の方に近付く。そっと開けると、そこに紺の帽子とジャケットを纏った男性が立っていた。  50代半ばぐらいだろうか。人の良さそうな笑みを浮かべるその人は、両腕にすっぽりと収まる程度の縦長の段ボール箱を抱えていた。 「ええと、どちら様でしょうか?」 「どうも、立永配送です。お届けの品をお持ちしました」 「ああ、どうも。ありがとうございます」  藤本は頭を下げて、配達員の男性から段ボール箱を受け取った。それほど大きくはないが、ずっしりとした重みが感じられる。藤本は後ろを振り返り神里に声を掛けた。 「先生、お届け物です」 「ん? ああ、もしかしてアレか」  心当たりがあったのか、神里は頷いて立ち上がった。ゆっくりと扉の方に近付く。 「即日配送とあったから明日届くのかと思っていたが、  まさか注文した当日に届くとは……」 「うちは当日配送のサービスもやってますから」  笑顔で言いながら配達員の男性は伝票を差し出す。  それを受け取ろうとした時、神里はふとその手を止めた。 「まさか……」  神里が小さく呟く。そして、信じられないものを見るような目で配達員の男性を見た。
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