(13)教授、気付いてしまう

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「なあ、千波刑事」 「はい」 「蒲生温人は本当に比橋尚真殺しの犯人なのか?」 「……」 「違うんじゃねえかって、俺はそう踏んでるんだが」  神里の言葉を受けて、千波は硬かった表情を少しばかり緩めた。 「ええ、実は私もそう思ってました」 「だよなあ」 「とは言え、本人が殺害を認めているし上の方針もあるので、  一応はこのまま捜査は進めますが」 「当然、真犯人が別にいる可能性も視野に入れてるんだな」 「ええ、まあ」  千波が曖昧に頷いたところで、神里は藤本の方に向き直った。 「なあ藤本。ここまでの話を聞いて、お前さんはどう思った?」 「え?」 「お前さんの意見も聞いておきたいんだが」 「うーん、確証が無いことはあまり言いたくないのですが」 「直感で構わん。思ったことを言ってみろ」 「藤本君、私も是非聞きたいわ」  神里と千波の二人から促されて、藤本はおずおずと口を開いた。 「お二人が今言っていた通り、蒲生さんは犯人ではないと思います。  ですが、犯人を知っている可能性はあると思います」 「ほう」 「詳しく聞かせて」  神里は面白そうなものを見る目で藤本を見た。  千波も興味深そうな眼差しで続きを待っている。  試されているような視線に居心地を悪くしながらも、藤本は話を続けた。
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