(13)教授、気付いてしまう

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「23日の夜に比橋さんは殺害された。それを知らなかったから、  蒲生さんは24日の朝、配達の為に比橋さん宅を訪れたんだと思います。  普通に、ただの仕事として。で、その先で比橋さんの遺体を発見した」 「うんうん」 「普通なら、その場ですぐに警察に通報するものですが、蒲生さんはしなかった。  そればかりか、現場に自分の指紋を残して逃亡した。  そんなことをすれば、自分が警察に疑われるのは明白なのに」 「そうだな。実際、警察は蒲生温人を殺人の容疑で捕まえてるもんな」 「ええ、そうですね」  神里も千波も頷く。藤本は更に続けた。 「それで思ったのですが、蒲生さんは自分に疑いが向くように  わざとそう仕向けたんじゃないでしょうか」 「ほう。その理由は?」 「誰が犯人なのか、気付いてしまったから」 「ふむ」  神里が小さく頷く。 「蒲生は本当の犯人を庇ってるということ?」  千波が前のめり気味に尋ねる。  半歩ほど引きつつ、藤本は答えた。 「ただの仮説です。蒲生さんの行動の不自然さに納得のいく説明をつけるとしたら、そうなるかなと」 「そうだな。それで良い」  力強く頷いて、神里が藤本の背中をポンと軽く叩いた。  そして千波の方を見据える。
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