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「まあ、いいか」
相手も悪気のあったことではないと思い、藤本はそれ以上は気にしないことにした。そうして、路上に散らばっていた食材を拾い集める。
「……ん?」
鶏肉のパックを拾おうとした時、その下に何かがあることに気付いた。
それは小さな箱のような物だった。手のひらに収まる程度に小さくて薄いものだ。そして軽い。青い包装紙で丁寧にラッピングされていることからして、プレゼント用だろう。
「これ、さっきの人の落とし物かな」
ぶつかった拍子に彼の鞄から飛び出てしまった物の1つだと思われた。どうやら拾い損ねがあったらしい。
(交番にでも届けておくか。でも早く大学に戻らないと先生が不機嫌になるな)
少し考えて、藤本は一旦それを自分で預かっておくことにした。
(仕方ない。帰りに交番に届けよう)
そうしてサラダ油や小麦粉等全ての食材を拾い上げ、改めて買い物袋に入れ直すと、藤本は再び大学に向かって歩き始めた。
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