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7 それが電算部だ
女神川学園高校では、オリエンテーションが終わると、すぐに体験入部期間がスタートし、その期間は1か月間にも及ぶ。もちろん、体験入部をせずに即入部することも可能ではあるが、多くの生徒はこの体験入部を経て部活動を始める。それはもちろん、電算部も同じだ。
元々、特殊戦闘学部の部活動は授業中の実習だけでは物足りないと感じている生徒の受け皿であることが多い。だから、授業のスタートを待って、足りない部分を補うための部活を選ぶのだ。ただ、殆どの新入生は授業の実習に追いつくのがやっとで、戦闘系の文化部を選ぶものは多くはない。だから、新入部員の争奪戦は熾烈を極める。
「うわ。マジで? そっくり……ゲームのモンスターの色違いくらいそっくりじゃん」
23号棟。A号電算室。中央付近に並んで立っている二人を見て、宙はテンション高めに言った。熾烈な争奪戦を勝ち抜いた。というわけではないのだが、本日、電算部には入部希望者が来ていたからだ。
「似てるだろ? こっちが雷」
瞳の色以外、ほぼ違いがない二人の紫色の瞳をした方を指さして、和彦が言う。長嶋雷(ながしまらい)。今、彼を紹介した長嶋和彦の双子の弟の一人。真新しい制服をきっちりと着て、背筋を伸ばして直立している。緊張しているのか、元からそうなのか、少し神経質で真面目そうな印象だ。さっき『はじめまして』と、一言しゃべってから一言も話していない。物静かだが、背が高く整った顔立ちはそれだけで周囲からは浮いていて、悪目立ちしそうだった。
「それで、こっちが霖」
もう一人。隣に並んでいる青い目をした方を指さして、和彦は紹介を続けた。長嶋霖(ながしまりん)。双子の弟の方。こちらは既にだらしなくネクタイを緩めている。髪型まで雷と一緒にはずなのだが、何故そう見えるのか不思議なくらいにチャラい。表情が豊かで愛想がいい。聞かれた質問は殆どこちらの霖が答えていた。髪色は二人ともほぼ同じ色で、青紫。ただ、生まれ持ったエレメントは違うそうで、戦闘スタイルもかなり違っているのだそうだ。
「兄がいつもお世話になってマス」
人懐こい笑顔を浮かべて、霖は軽く頭を下げる。
「これからは、双子の方もお世話お願いしマス」
そんな軽口をきいてから、霖は一人で笑っていた。戦闘スタイル。というよりも、性格が大きく違うらしいのは会ってから30秒でわかった。
「こちらこそ! 和先輩にはそれはもう毎日お世話になってマス! ので。お返しに嫌だって言うまでお世話してあげるね」
イマイチありがたいのかありがたくないのかわからない宣言をして、雫が敬礼する。その敬礼に霖は敬礼を返していた。和彦はというとそんな二人にため息をつく。
「でも。さ。本当に二人とも、電算部で……いいわけ?」
その様子を見ていた鼎がぼそり。と、呟く。
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