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彼女から電話が掛かってきたのである。
僕が電話番号を知らせたのはおぼえているが、直接話したいと書きつけて送ったのかもしれない。
電話を取ったのが僕ではあったが、はじめ、誰から掛かったのかわからなかった。
その声が僕の知らない、高くか細く声だったからである。
名乗られてようやく彼女だとわかった。
ここでも「ひさしぶり」と言い合った。
なぜ本当に電話を掛けてくれたのか、僕はわからないまま会話を続けた。
でも結局は、僕の想いに応えることはできないという内容の電話だった。
あれは、かつて仲良くしていた幼なじみへの、彼女なりの誠意だったかもしれない。
どんな言葉をやり取りしたかは、もう記憶にない。最後の最後『ありがとう」と互いに口にして、それで電話を切ったのだけはおぼえている。
こうして僕の初恋は、完璧に終わりを告げた。
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