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僕が彼女を異性として見られても、それ以上の感情を持たなかったのは、良くも悪くも一本調子で、あっさりさっぱりしすぎていたのかもしれない。
あるいは、もの静かな僕はにぎやかすぎる女子が、そういう目で見られなかったような気もする。
中三に上がってクラスが別々になると、それから一度も顔を合わせることはなかった。
それで当のB子は、スポーツが得意そうな、やはり快活な女子だったが、屋外でやるハンドボール部にいたせいか浅黒い肌をしていた。
また学年に存在した不良グループとつながっている様子で、セーラー服の丈が不自然に短くて腰がむきだしになっているとか胸当てがないとか、それなりに乱れていた。
それで真面目で通る僕は、そんな彼女には全然関心がなかったけど、ある日を境に急展開したのだった。
本当に、予兆も伏線もなかった。
それでも何かがあったとしたら、僕には貧相な自尊心しかなかったことである。
それくらい青天の霹靂ともいうべき事件だった。
B子が学校の休憩時間中に、廊下でいきなり僕に告白をしてきたのである。
あまりのことに僕は言葉を失った。
それまでは僕から好きになることはあっても、相手から好かれるのはほとんど初めてだった。
(中二のときに僕を好いた女子がいたようだが、それを知らされたあとも彼女が面と向かってはそういう素振りを全く見せなかったのでまるで進展しなかったことがあった)
また先に触れたように僕の好きになるタイプとはむしろ正反対に振れていたことで、それをそのまま受け止めることができなかった。
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