15の夜

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 僕がそれにたいして「うん」といわなかったせいで、翌日にはB子やB子の友人らから悪者扱いされてしまった一方で、僕は好きといわれて彼女が気になってしまったのだった。  そこからは僕の方が彼女のことを日に日に好きになっていき、彼女の言動一つ一つが僕の心を震わせた。  彼女からの悪者扱いも自分は把握していたので、うまく話せない代わりに得意とする手紙で、告白にたいしてその場で良い返事ができなかったことを深く詫びた。  けど、手紙は所詮手紙。  会話でいえば一方通行である。  そのまま無視されて、一言も交わせないうちに半年後には卒業を迎えてしまった。  例のAにしたら、聞き捨てならない事態だったろう。  僕に思いを寄せる女子がいたことが悔しくて我慢ならなかったにちがいない。  思い詰めた僕がB子とこじれていることを相談したとき、Aは僕にアドバイスした。やぶ蛇だから静観するしかないと。  それが今となっては、僕と彼女を完全に引き離すための方便だったとわかるが、かといって彼女に直接話しかけてもうまくいったかどうかもあやしい。  卒業式前に、もう一度手紙を書いて送ったのだが返事はなかった。  この時点で、もう過ぎ去ったできごとだったと冷静に受け止めてもよかったかもしれなかった。  それでも誠実に頑張ればまだいけると思い込んでいた自分は、おめでたいとしか言いようがない。
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