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僕は、友だちがいなかった。
厳密にいえば、友だちだと言って近づいてきた奴はいた。
小学六年のときだ。
あいつは、転校生だった。
家の近所に引っ越してきたが、あいつと同学年の男子が僕しかいなかったから目をつけたのだろう。
あいつは、会ってすぐに僕の「親友」だと言った。
それまで友だちがいなかった僕は、手放しで喜んだ。
でも、あいつとは今、友だちでも何でもない。
僕は、子ども特有の能天気さで飛びついただけだ。
おかげで僕は、他人にたいする警戒心をより強く持つ人間になったのだろう。
今や憤りもなければ感謝もない。
その代わり、できれば、この先、もう二度とあいつのことは思い出したくない。
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