17人が本棚に入れています
本棚に追加
紙を広げてみると、大玉よりは少し小さい、真っ黒な飴が出てきた。素材は黒砂糖なのだろうか。飴ならば練って形を整えるうちに空気が入るものだが、つやつやとした表面はガラス玉のようで、黒いのに向こう側が見えそうな透明感がある。
不審な人物からもらったものを、安易に口に入れるほど不用心ではない。
こんなものが食えるか、と思って友達を見ると、嬉々として飴玉を口に放り込んでいるところだった。
驚いていると、友達はうひゃあ、と声をあげた。
「おい、これすげぇぞ! ものすごくうめぇ!」
すげぇ、なんだこれ、と感嘆の言葉を次々に口にする。
「おまえ、食わねえのかよ」
「だって……」
ためらっていると、友達は急に不機嫌になって目を細め、にらんできた。
「俺が食って大丈夫なんだから! おまえも食えってば!」
目を見開いて、大声で迫られる。いやだ、と言えなくなった。
ただ、恐ろしかった。
つまんでいた黒い飴玉を、友達に奪われたかと思うと、無理やり口のなかに突っ込まれた。
最初のコメントを投稿しよう!