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並びの商店街のスタッフだと、時間外でも受け入れるような仲の良さ。
性別も年齢も好みも様々な客で、毎日大忙しになった。
そして古張は。
お客ひとりひとり丁寧にじっくりと時間を掛ける。
鏡の中で、お客が望む通りに整って行くのを見て。
みんな満足な顔で店を後にする。
ただ。
そのせいで、どんどん時間が押してしまう。
オープンから3日で、智春は古張の仕事の流れを把握し。
阿吽の呼吸で作業が流れるように、工夫した。
お客に満足して欲しい、納得して貰いたいと。
古張が考えているコトが判ると。
お互い視線を合わせるだけで、全てがぴったりと正確に進んだ。
だから。
忙しいけれど。充実していて。
キレイになったお客を送り出す時は。
自然と自分も笑顔になってしまう。
そして片付けが終わって。
2人で並んで帰る時に「トモのお陰で今日もエエ1日やったワ」と。
古張から笑顔を向けられると。
胸の奥から温かくなるのだ。
目の前の。
このドアを押し開くと。
大忙しの時間がスタートする。
でもそれは同時に。
幸せの中に戻って行くことでもあって。
自分には大切なヒトが居て。
自分は大切に愛されていて。
そんな互いの為に、自分に出来るコトがあって。
2人同じ場所に立つことが出来る。
(これを幸せと言わないなら。
世の中に幸せなんか、無いよなあ)
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