14歳

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 隣に住んでるアヤちゃんは、同い年でとってもかわいい。  顔だけじゃなくて、体だって魅力的。わたしとは大ちがいで、出るところはバキューン、ひっこむところはキュキュキュ。  わたしはガリガリ。まったいらなのが胸やおしりだけじゃなくて、鼻までもがぺったんこ。ちっともかわいくない。  あべこべに映る鏡があったら、アヤちゃんが前に立たっときは、わたしの姿が映るはず。  小さなころからいつもいっしょで、とても仲がよかった。  中三になった今でも、アヤちゃんはわたしのことを親友と呼ぶ。  本当にそう思ってるの?  だって、アヤちゃんには友達がたくさんいるから。誰とでもすぐに仲良くなれる、明るくていい子。  わたしはアヤちゃんのほかに、親しい子はいない。引っ込み思案なのは自分でもわかっていて、お母さんには暗いと言われた。中身まであべこべ。もう、イヤになっちゃう。  もうすぐアヤちゃんの誕生日。五歳のときから、おたがいの誕生日には、いっしょにケーキを食べるのが習慣。  高校生になっても続けようね、とアヤちゃんは言った。  成績抜群のアヤちゃんと、平均以下のわたしでは、きっと行く高校はちがう。  なによ。かわいさで勝つだけじゃなくて、成績でまで差を見せつける気。  腹が立った。  それでつい、お願いしてしまった。 「悪魔さま。どうか、アヤちゃんの誕生日に舞い降りて、二人のうちでおいしそうなほうを食べてください」    そして今日、アヤちゃんは十五歳になった。  わたしの誕生日はもっとあと。まだ十四歳で、思春期ってやつ。いろいろ不安定で、劣等感が強くなったりするお年ごろなの。もう。年齢まで負けちゃうなんて。気にくわない。、  二人でケーキを食べながら、また腹を立てた。  すると、まっ黒な悪魔が煙とともにあらわれた。 「うまそうなほうを食べればいいのだな」  ガラガラ声は白い牙をすりぬけて、わたしの耳に突き刺さった。  頭がガクガクとたてにゆれたのは、恐くてふるえたのと、アヤちゃんがいなくなるのを願っていたから。  悪魔は腕を伸ばして、一歩前に出た。  アヤちゃん、さようなら。  あなたは十分ちやほやされたわ。そう、わたしの一生分くらい。さあ、悪魔に食べられてしまいなさい。  と、思っていたらわたしの肩を黒い手がつかんだ。 「え、どう見たってアヤちゃんのほうが魅力的でおいしそうでしょ」 「いや。あの娘はもう十五歳だ。一つ年下のおまえのほうが、うまいに決まっておる」 「どうして十五の一つ下のほうが、おいしいの?」 「ジューシーだから」
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