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『痴話喧嘩は後ヨ! 小娘、黒檀は動けるかしラ』
「……だめです、私の力が足りません」
とにかく話は後だ。
玲香もそう思ったのか、涙を拭いてシロちゃんの話を聞く。
この場をなんとかしなきゃ、蠱毒に喰われちゃう。
餌の下に敷いた方陣の力で少しは足止めできるから、その間に作戦を立てなきゃ。
「シロちゃん、この蠱毒……捕獲したい」
『バ……バカ言うんじゃないわヨ! アンタにそんな芸当……』
「だって可哀想じゃん! 玲香だって、だからこの子を倒せなかったんでしょ?」
玲香は目を丸くして、わたしを見た。
「わかるよ。尊敬する親友だもん」
「……黒檀は倒せって……でも出来なかった。この子はただ飢えてるだけだから……調伏さえ出来れば、この子はきっと犬神になれる。そしたらもう飢えることなく過ごせるから……」
きっと意見が合わなくて、そのせいで黒檀に蠱毒が取り憑く隙が出来てしまったんだ。
玲香は黒檀と蠱毒、両方を守ろうと必死でこの洞穴で押さえ込んでいたんだろう。
『小娘、調伏のやり方はわかル?』
「はい。でも、もう力が……」
『飛鳥、調伏のやり方は……わかるわけナイわよネ』
「ぐっ……」
サボってばっかのわたしにそんな高度なモノわかるわけがない。
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