第2話

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「…なんで…だろ…」 「落ちてきた…から…」 おかしいな…また私がベッドから落ちたからってこと?どこで寝ても、この1週間全く同じ体勢で目覚めるんだけど… 抱きしめられたままボソッと声が出ちゃうと、ボソッと声が降ってきて驚きながらも不思議でしょうがない。どこでも眠れる体質ではあるけれど、寝相が悪いとは言われたことも感じたこともないんだけどな。 「んっ……何時?」 「ぇ…っと…」 緩んだ腕から頭を出して 「6時25分です」 と伝えると 「ぅ…っん…」 温かい腕に引き戻されてキスに迎えられる。 「寝起きから“です、です”うるせ…」 鬱陶しそうに言った先生は 「おはよ、茉里」 ペナルティキスで機嫌を直したのか普通に挨拶して 「ロールパンサンドでいいか?」 と私の髪を撫でた。コクコクと頷く私の頭にチュッ…と音を立ててから起き上がった先生、桐斗さんが朝食を用意してくれる間に、私は着替えや髪を整える。 私がキッチンへ行くと 「あんま可愛く仕上げんなよ。襲われるぞ」 と桐斗さんは私の髪を一束つまむ。大人可愛い雰囲気に仕上げやすいミディアムヘアは、くびれ巻きでアレンジ出来てお気に入り。毛先を外ハネにすると元気でアクティブ、内巻きだと上品でガーリーになるの。今日は内巻きにしたのがうまくいったので気分が上がった。 「襲われるって…先生もあっ…きり…」 また唇が塞がれて、これって襲われてるんじゃないの?とも思うけど…最初は筋肉痛になりそうなくらい腕を突っ張っていたけれど……何回目かに気づいたんだ。 私はキスの時に後頭部に添えられる先生…じゃない…桐斗さんの手がちょっと好きだ。安心できるから…決してキスが好きなんじゃないよ?手だよ!手!!
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