第1話

2/7
前へ
/54ページ
次へ
「深夜に自宅で“先生”をさせられては俺が過労死する」 「はい…?」 厳しい表情で何を言っているのだろう、先生は… 「ここへ来るまでに分かったことは、奥田が住み込みのバイトを先週始めたこと。それだけだ。高校だけは卒業したいとか希望を言う前に、住み込みバイトの理由を説明しろ。バイトだけでもうちは校則違反なのに、住み込みって?保護者とか住所変更とか…どうなってる?」 おっしゃることは、ごもっともです。でも足も限界です、先生… 「ちゃんと説明するなら、ソファーに座っていい」 「はい…説明します…」 説明するしかないシチュエーションだよね?だったら、足は救いだしたい。 「ん、ここ」 先生が隣をポンポンとするので、私は少し痺れた足に気をつけてゆっくりと立ち上がると、ローテーブルの右側を通ってソファーに腰掛けるはずだった… 「ぅわ…っ…」 ボスッ… 体重を支えられなかった膨張した(気のする)足をガクッと崩した私は、顔から先生に突っ込んだ。 「ナイスキャッチ、俺」 淡々と言われると余計に恥ずかしい。 「このまま聞く」 ハァ…?私を体ごと受け止めた先生は、背中をトントンして話を促す。おかしい…おかしいんだけど、先生のテリトリーで、絶体絶命の弱みを握られている私が拒否出来るワケがなかった。
/54ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2005人が本棚に入れています
本棚に追加