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「ありがとう。美味しそ…」
シュワシュワが目に入ると、モヤモヤが少し溶けていく…
「………」
「……?桐斗さ…ん?」
飲み物を前に置いてから私の隣に座った彼が、ずっと私を見つめているのは…どうしてだろう…近くでもカッコいいって…じゃない、ない。何?
「礼はキスでいい」
「…ひ…っ…ほ…っ?」
開いた口から勝手に音が漏れる。
「ん」
私の腰に手を添えて一段と顔を近づけた彼はいい匂いだ…さっきの臭かったのを思い出して私は彼の首に腕を回すと…スーーッと思い切り息を吸った。
「私の部屋……臭かった…」
「…汗とか………まぁ……いろいろとな…ゴミ箱も……いっぱいだったし……」
思い出したくない臭いだから、彼の首筋に顔を埋めて“いやいや”をするようにしながら彼の香りを嗅ぐ。
「脱ごうか?」
「…っ……コレでだいじょ…ぶ…」
「ん。キスな」
少し体を離して私の顎に指先を掛けた彼がキスをする。
「これ飲んだら親に電話する。話だけでは信じられないだろうから、撮ったものも送る」
コクン…家が無くなる感覚、特に自分の部屋と持ち物を取られた感覚に襲われて泣きそうになったから、慌ててレモネードのグラスに手を伸ばしてズッ…ズーッ…ッッ…ゴッホッッ…ゴホッ……炭酸でムセた。
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